マイクの指向性(ポーラーパターン)とは、マイクがどの方向からの音をどれだけ拾うかを表したものです。指向性を理解しておくと、用途に合ったマイクを選び、正しい位置にセッティングできるようになります。
指向性の分類
マイクは指向性によって、大きく次の3種類に分けられます。
- 無指向性:すべての方向の音を均等に拾う
- 単一指向性(カーディオイド):主に正面の音を拾う
- 双指向性:正面と背面の音を拾う
以下の図は、それぞれのタイプがどのように音を拾うかを示しています。0度がマイクの正面(話しかける側)で、図では常に中央の上側にあたります。
無指向性
無指向性マイクの感度は円形で、どの方向から来た音も同じ感度で拾います。

主な用途:
- ノートPCの内蔵マイク
- Webカメラのマイク
- 会議室用マイク
- 環境音の録音
向いている場面:静かな部屋で、周囲の雰囲気やマイクを囲む複数人の声をまとめて録りたいとき。騒がしい場所には不向きです。
単一指向性(カーディオイド)
カーディオイドという名前は、収音範囲がハート(心臓)の形をしていることに由来します。主に正面の音を拾い、マイクの背面からの音は抑えます。

主な用途:
- ボーカル録音
- ポッドキャストや配信
- ライブステージ
- ゲーミングヘッドセット
向いている場面:ある程度の騒音がある環境で、マイクの背後から入るノイズをできるだけ抑えたいとき。
スーパーカーディオイドは、通常のカーディオイドより正面の収音範囲が狭い一方で、真後ろの音もわずかに拾います。

主な用途:
- 映画・映像制作
- ステージモニター
- 観客の反応の収録(部分的に)
不要な音源が真後ろではなく、感度が最も低い側面(ヌルポイント)に来るようにマイクを配置しましょう。
ハイパーカーディオイドは、カーディオイド系の中で正面の収音範囲が最も狭く、背面の感度が最も大きいタイプです。側面からのノイズを最も強く抑えます。

側面にはほとんど音を拾わない「死角」があり、不要な音源を締め出すのに最適です。

主な用途:
- 映画・テレビの撮影現場(ブームマイク)
- 野鳥や動物の録音
- スポーツ中継
- 騒がしい場所でのインタビュー収録
ヒント:ハイパーカーディオイドのマイクは、音源に向けてまっすぐ構える必要があります。この指向性のマイクには、細長い「ショットガン」型が多く見られます。
双指向性
「8の字指向性」とも呼ばれる双指向性マイクは、正面と背面の音を同じように拾い、側面からの音は抑えます。


主な用途:
- 対面でのインタビュー
- 向かい合って話す2人でのポッドキャスト
- ボーカルのデュエット
- M/S方式のステレオ録音
配置のコツ:2人の間にマイクを置き、それぞれが別々の面に向かって話します。不要な音源は側面に来るようにしましょう。
マルチパターンマイク
マルチパターンマイクは、3種類の指向性を1台にまとめたマイクです。本体のスイッチやソフトウェアで指向性を切り替えられます。
メリット:
- 汎用性が高く、1本でさまざまな録音シーンに対応できる
- マイクを何本も買いそろえるより経済的
- 自分に合う指向性を試しながら見つけられる
よく見かける製品:ポッドキャストや配信向けのUSBコンデンサーマイクには、指向性の切り替え機能(カーディオイド、無指向性、双指向性、ステレオなど)を備えたものが多くあります。
用途に合った指向性の選び方
よくある場面ごとの早見表です。
- 自宅からのビデオ通話:カーディオイド。自分の声に集中し、周囲のノイズを抑えます
- 1人でのポッドキャスト収録:カーディオイド。声だけをきれいに録れます
- 2人でのポッドキャスト:双指向性、またはカーディオイドを2本
- 会議室でのミーティング:無指向性。参加者全員の声を拾えます
- 騒がしい環境:ハイパーカーディオイド。ノイズを最大限にカットします
指向性を理解したら、次はマイクの音質を良くする方法をチェックして、録音品質をさらに高めましょう。